さとうきび健在
妹尾河童『河童の覗いたインド』には、筆者が1978、83年に訪れたインドがイラスト付きで詳しく紹介されている。たとえば路上の商売なら、まずチャイに揚げ物などの食べ物屋、サービスなら仕立て屋、床屋など……。インドにはありとあらゆるお店があって、ハダカ同然の人々がにぎやかに行き交う。
この本を先日、読み終えた。実は読みはじめたのはインド渡航前だったので、4カ月もかかったことになる。文字が小さいうえにページ数も多く、読み進めるのには根気が必要だった。ただ、なかなか読む気になれなかった何よりの理由は「どうせ35年前の話でしょ……?」と、私がしらけてしまったことだ。
だが違った。35年前に河童が覗いたインドは、2012、2013年のインドにもそのまま残っている。さとうきびをしぼってジュースにするさとうきび屋(写真)、リキシャを漕ぐ仙人ルックスの老人。何も変わっていない。店頭で糸車をひく老女を発見したときは、童話の世界に迷い込んだのかと驚いた。
by photo-by-kohei
| 2013-02-10 11:53
| India