好感すら覚えた 〜シンガ・タイ旅行〜
王宮前で始まったトゥクトゥク・ツアー。行き先は案の定、観光名所だけではなかった。「腹が減ってない?」「タイ・シルクを知ってる?」契約しているのだろうお店に誘導しようと、運転手おじさんはあの手この手を尽くす。スバリな言い回しを避け、警戒されないよう努める姿には好感すら覚えた。
だがおじさんも、さすがに諦めたようだった。「腹も減っていないし、シルクも興味ないよ」。私がしばらく抵抗していると「これ日本語だよね、読める?
」といいながら、車体の天井部分に手をのばした。はさんである書類のなかから、プラスチックでラミネートされたカードを取り出し、私に手渡す。
こう書いてあった。格安でツアーをするから、シルク工場に行ってくれ。買わなくてもいいからシルクをみてくれ。そうすれば契約でガソリンを5リットルもらえるーー。以前訪れた日本人観光客に書いてもらったのだろう。懐かしいな、と思った。私もモロッコで、こんなカードを書かされたことがある。
なるほど、なるほど。2、3時間のツアーで20バーツ(60円)。これはさすがに安すぎると思ったけれど、ガソリンをもらうという契約だったのね。にこりとする運転手のおじさん。なんだか愛らしく思えてしまって、私は「いいよ、じゃあシルクを見に行こう」と応じることにした。正直者には弱い。
by photo-by-kohei
| 2012-09-30 01:16
| Thailand