しれっと列変え 〜シンガ・タイ旅行〜
便宜上そう呼ぶ
なぜシンガポールかというと理由は簡単で、そこに実家があるからなのだった。実家。便宜上そう呼ばざるをえない。父が去年の春から赴任していて、母と暮らすマンションの一室があるのだ。わたしはそのマンションの最寄り駅と、駅からの道のりだけを確認して成田から出発した。
機内では映画をみた。「ノッティングヒルの恋人」を再生してみたが、中国語の字幕が気になる。漢字の意味が中途半端に頭に入ってくる。集中できなかった。字幕だけをオフにすることはできないみたいだった。代わりに「ティファニーで朝食を」をみた。これもどこが面白いのかなあ。わからなかった。「ローマの休日」は面白かった気がするけど。
通してくれない
村上春樹がたしか「旅は思い通りにいかないから楽しい」というようなことを書いていた。本当にそう思う。だがシンガポールのチャンギ空港。到着してこんなにすぐ面倒なことになるとは思わなかった。入国審査官が通してくれないのだ。50代後半の審査官。空欄のままにしていた現地滞在先の住所を番地まで書けとうるさい。超・事務的対応。こっちもムッとする。
住所は控えていなかった。だっておかしい。記入例にだってホテル名しか書かれていないのだ。こいつの頭が固いだけなんじゃないか。バカバカしくなって、いったん引き下がった。最寄り駅だけ記入して、しれっと他の列に並び直す。今度は30代の若い審査官の列だった。なにも言われなかった。表情ひとつ変えず、査証のスタンプを押してくれた。
by photo-by-kohei
| 2012-07-03 12:31
| 東京