ひるがえって
ひるがえって東京。
「計画停電、混乱相次ぐ 停電中の交差点、4県で事故4件」(3月19日)
「ゆうちょ銀、9割のATM停止 連休中、計画停電で」(19日)
「東電の計画停電、夕方まで見送り 夕〜夜間は昼ごろ判断」(25日)
1年前の新聞を眺めてみると、なんともおどろおどろしい、
こんな見出しが並ぶ。東京では昨年の今頃、駅でもオフィス
でも、蛍光灯が消されていた。鉄道各社は間引き運転を余儀
なくされた。渋谷でも新宿でも、街中の看板からは明かりが
消えた。
もう懐かしい話である。いまではすっかり元通りに戻った。
計画停電も、もう過去の言葉だ。死語になったともいえる。
計画停電を実施しないと大停電が起きると騒がれた1年前。
電力需給なんて誰も気にしない、平和で眩いばかりの今日。
おかしな話だ。
実は今年のほうが、稼働している原発の数は少ない。東電は
震災直後にも、新潟柏崎刈羽原発の4基で発電を続けていた。
合計約390万キロワットを発電していた。
いまはゼロになった。定期検査のために次々と運転をやめ、
最後の1基もきょう(26日)、停止した。
東電は震災前、発電量の3割を原発で賄っていた。それが
ゼロになったのだから、電力量は圧倒的に足りないはずだ。
ところが、そういった事態には至っていない。
このカラクリを理解する人が、東京にはどれだけいるだろう?
東京では何故、原発なしでも電力供給が間に合っているのか。
東京の贅沢のために、どれだけの無理が強いられているのか。
東京の無理を通すため、犠牲になっているのはいったい誰か。
得をしているのは誰か。
* * *
「日本人は力を合わせて東北の人を助けると思っていました」
日本文学を研究するアメリカ人、ドナルド・キーンの言葉だ。
現在の日本の状況を、温和な性格に似合わず厳しく批判した。
日本国籍を取得するにあたり開いた記者会見で今月、語った。
「東京は忘れているんじゃないか。東京は明るい」
キーンが帰化を決断した背景には、震災後に助け合う東北の
姿があったという。そのキーンが、いま、東京に苦言を呈す。
どういうことなのか。
東京はもっと考えるべきだ。贅沢を捨て、生活水準を身の丈
にあったレベルまで下げるべきだ。私がボランティア活動に
参加し、ひたすら泥を掘り続けながら考えていたのは、こう
いうことである。
見出しは日本経済新聞より引用
キーン氏の記者会見での言葉は
読売新聞3月9日朝刊から引用
キーン氏の記者会見での言葉は
読売新聞3月9日朝刊から引用
by photo-by-kohei
| 2012-03-26 02:34
| 東京