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ダッシュして大汗をかく 〜1日目・東京、モスクワ&イスタンブル〜


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2011.01.30
@京成線社内、成田など
「トルコ・ギリシア旅行」No.01
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「ダッシュして大汗をかく」
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 目覚まし時計をセットしていたのは午前6時だった。起きられなかった。アジアカップのせいだ。結局7時過ぎに起きてシャワーを浴びる。朝食をとりながらTBSの「がっちりマンデー」を見ていたら森永製菓の社長が出てきた。さすがでっぷり太っていて、面白かった。

 急いで家を出る。出発日にはいつも、忘れ物がないか不安になる。暖房の消し忘れや、給湯器の切り忘れも心配だ。それからトイレの電気も。最寄り駅に向かう途中のセブンイレブンで旅行用ハミガキセットを購入した。

* * *

 成田に来るのは、ロンドン留学からの帰国以来だ。有楽町線から都営新宿線、都営浅草線に京成線。電車を乗り継ぐ。馬喰横山から成田空港までは熟睡した。あっという間だった。1時間以上も電車に揺られていたなんて信じられないくらいだ。空港では郵便ポストに封書を投函した。住んでいるアパートの解約通知書である。2月末で引っ越す予定である。本当は旅行なんてしてる場合ではないのだ。

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 両替をして、出国審査を通る。シャンプーがカバンに入ったままだったはずなのに、荷物検査は問題なく通れた。飛行機に乗るとき、読売新聞とスポニチをもらった。読売の一面には、昨日のオーストラリア戦について「日豪譲らず延長戦」との見出しがある。しかし勝ち負けに関しては記述がない。きっと締め切りの段階では、まだ勝負が決まっていなかったのだろう。すこし間抜けな感じがした。

 飛行機で隣に座ったのは、イタリア人の男性だった。イアフォンが見つからないね、というところから話しはじめた。同じくらいの年かなと思っていたけれど、聞いてみると37歳。出身はミラノ。イタリア製のマットレスを販売するビジネスマンで、東京とミランを数カ月おきに行ったりきたりしている。流暢な日本語には驚いたが、日本に来てからもう17年も経っていると言っていた。六本木に住んでいて、今度インテリア誌のインタビュー取材を受けるそうだ。

* * *

 飛行機は驚くほどの設備だった。アエロフロート・ロシア航空。シートには高解像度のテレビ画面がついている。タッチパネルの操作も快適だ。さらにはUSBポートまでついている。私はiPhoneをポートに繋いで充電した。けれどコレは本来、何に使うモノなんだろう? ゲームのコントローラー?

 日本語の映画には「ハナミズキ」があった。昨年の夏公開の、なんというか、まあ若者向けの恋愛映画である。私はあまり映画を見ないほうだが、実はコレだけは昨年、見ようと思ったことがあった。何故か。新垣結衣と生田斗真の遠距離恋愛の話なのだが、生田斗真が演じる役名は「木内康平」なのである。こうへい、なのである。こうへい君、と呼ばれるのである。

 個人的に一番好きだったのは、制服姿の新垣結衣が頬を赤らめて
「ほんとはね、何で東京の大学を受けるんだろうって自分でも考えるの。だってね、北海道に残れば、こうへい君とずっと一緒にいられるのに」
と言うシーンだった。アレは良かったね。

* * *

 しばらくしてまた話しかけてきたミラノおじさん氏と、今度は政治や経済について話した。いつもの流れだ。学生です。なにを勉強してるの? ポリティクス。へえ、そう。日本についてどう思う--?

 おじさんは農産物も工業製品もとにかくしっかりと関税をかけて、地産地消的な政策を進めるべきだという。渋谷のドンキホーテで3000円で買ったダウンジャケットが安っぽい、もっといいものが日本には作れるはずなのに、デフレスパイラルに陥ってしまう、と。産業がつぶれてしまう、と。ここらへんの主張は筋が通っているような、通っていないような、よくわからない感じだが、とりあえずいま日本の民主党が推進せんとするTPPの方向とは逆の主張だ。保護主義的なね。まあ難しいね。
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* * *

 モスクワのシェレメチヴォ空港に到着したのは、予定より45分遅れの18時10分だった。安いチケットを買った私は、焦らずにはいられなかった。イスタンブル行きのフライトはは18時40分に出発予定である。間に合わない。

 こういう場合、まずはシートベルトサインが消えた瞬間のスタートダッシュが肝心だ。ほんの数秒遅れただけでも、通路は棚から荷物を取ろうとする人であふれてしまう。私はすでに30分前、遅れを見越して荷物をまとめてあった。飛行機が止まって、ポン! 私は出口を目指して突進した。

 だがここで資本主義という名の不平等・社会悪がヘラヘラと私を嘲笑うのである。ロシア航空なのに! モスクワの空港なのに!

 スタートダッシュは良かったものの、ビジネスクラスの一帯にさしかかろうと言う前のところでおばさんフライト・アテンダントは「この先は通れません」。手をあげて制止されてしまった。ビジネスクラスのお客さまが先にお下りになることになっております、らしいのである。

 しかもそのビジネスクラス連中はあろうことか、無事に飛行機が到着したことでも祝っているのか、あるいはシベリア上空で大切な商談でもまとまったのか、お互いに握手をしたりハグをしたり親交を深めているのである。やはり力を持っているのは金持ちなのである。金があればなんでも自分の好きなように世界を動かせる、のだ。それが資本主義社会の宿命、なのだ。

 「18時40分に次の飛行機があるんです」。私はそう言っておばさんフライト・アテンダントに訴えるのだが、今度は近くにいた「フルハウス」のジョーイおじさん似のおじさんが「遅れた場合は他便を手配いたします。もし空いていなければ他航空会社の便も利用できます」などと言う。いやいや、そういう問題じゃないのだよ。予定が狂うのって想像以上にエネルギーを使うのだよ。

 しょうがないから待つ。ビジネスクラス連中が出て行ったあとで、ダッシュする。しかしシェレメチヴォ空港は国際線の乗り換えにもバスポートチェックやら荷物検査やらが必要だった。しかもまだ18時過ぎだというのに空港スタッフが少ない。長蛇の列である。ここでは「旅物語」と書かれた旗を持った日本のガイドツアーの添乗員が、何食わぬ顔でツアー客に割り込みさせていて驚いた。

 そのあとはもう走りに走った。最初にみた案内板ではイスタンブル行きの飛行機は1840発のままだった。ところが、走っている途中で見かけた次の案内板では、1900発と表示されていた。これはいける! そう思った私はさらにペースを速めた。目指すはゲート24。SU209便だ。
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 間に合った。ゲート窓口でイスタンブル? と尋ねると、スラブ顔のお姉さんはそうだ、と頷いた。「ほんとうに間に合ったんだ」と、つい口に出してしまった。乗った飛行機は左側の窓際で、右の二席には韓国人の母娘がいた。娘は10歳くらい、母は40手前くらい。娘はめがねをかけている。とても娘思いの母親に見えた。母娘が電気をつけるために頭上のスイッチを押そうと頑張っていて、わたしはつけるのを手伝った。そのあとは村上春樹の『雨天炎天』を読むか、あるいはほとんど寝ていた。日本時間では深夜である。

* * *

 到着したトルコのアタテュルク空港。地下鉄の入り口のエスカレータが動いておらず、しかも降りた先が真っ暗なので尻ごんでしまう。勇気を出して降りてみると一応やってはいるみたいだったが、人が極端に少なくて怖い。

 途中声をかけてきたおじさんがいた。グレーのスーツを着ている。地下鉄を探しているのか? と聞かれ、そうだと言うと道を教えてくれる。さらに泊まる場所は決まっているか、と聞かれ、応えると、こちらも道順を教えてくれる。さっき機内で読んでいた『地球の歩き方』にはご親切に「初日に現れるイスタンブールの客引き」というコラムがあって、それによれば
「空港内で、旅行会社のスタッフが(i)のスタッフのバッジをつけたりして公共機関の職員を装い、自分の関係する旅行商品を売りつけるという事例が多発している」
とのことであった。この人は親切心だったのだろうか。

 地下鉄でゼイテンブルヌ駅まで行き、そこでトラムに乗り換えた。今日泊まるのはスルタンアフメット地区。目的のホステルがある場所だ。駅からホステルまで歩く10分ほどの道のりで、いきなりブルーモスクが目に入った。「イスタンブルにやってきたんだ」。私はそう思った。こういうときは一気にテンションが上がる。到着から1時間ほどでこれだけドドンと迫られると、初っ端からトルコにしてやられた! という感じだ。

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by photo-by-kohei | 2011-02-13 21:31 | Turkey


デジタル一眼初心者が、四苦八苦しながら写真を撮ります


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